Pinball

the simpsons

半年以上前から一週間あるいは二週間に一度くらいのペースでゲームセンターに運んでピンボールをプレイしている。ゲーセン側としてはこれで収益を上がっているのか怪しいくらい誰も遊んでいないので、ここに来れば必ず台が空いているので私は重宝している。加えて、このお店は良心的なことに定期的に台の整備までしているので、時々遊びたくても台が調整中で無理なことを除けば、安く・いつでも・快適に遊べる素晴らしい環境が揃っているのでとても気に入っていた。本当に儲ける気があるのか怪しいのはさっき言った通りだが、設置場所が店舗隅の階段の裏側、自動販売機とベンチが設置された簡易休憩スペースの脇というのも、通っぽくて実に玄人受けしそうだ。そんなゲーセンがある。

今日もついでにワンプレイしていこうかと立ち寄ったところ、あいにく隣のLord of the Ringsは調整中。選択肢もないので、とりあえず動かせるThe Simpsonsに200円突っ込んで3クレジットで始めた。

今日は調子がいいと思った。順調に点数を重ねて、一度もボールをロストしないままスコアが伸びていく。実質私くらいしかまともにやり込みプレイしていないであろう台なので、ここでハイスコアを記録すれば、次に遊びに来たときにも記録は残ったままだろう。シンプソンズは点数が比較的稼ぎやすいゲームだと思う。心の中で桁が上がっていく点数にニヤニヤしながらプレイを続けること数分。それは突然やってきた。

お腹がゴロゴロ鳴っている。腹痛だ。腹が痛い。要するにウンコだ。

台を見た。大丈夫だ。しばらくは我慢できるし、どうせすぐにボールもロストしてゲームオーバーさ。そう考えながら続行することにした。状況は悪化した。

なぜかスコアが伸び続け、Extra Ballを稼ぎまくる。ボールをロストしたと思ったらExtra Ballでスコアはそのままプランジャーに再度玉が篭められる。何がオマケだ糞ったれ。空気の読めなさにお尻がムズムズする。仕方が無いのでさっさと打って終わりにしよう、そう思ってわざと即ロストしたら今度はボールセーブ。オマケはいらん、帰れ。気のせいか急速に便意を感じるようになった。傍で休憩中の親子連れと思われる幼女が、私のプレイしている台を珍しそうに覗き込んできているのが視界の隅に映った。さっきからスコア伸ばしまくっているから、台がジャガジャガ派手な音を鳴らしているので珍しく見えたんだろう。ピンボールなんてやってる人あまりいないからね。その子には、すごく真剣な表情でピンボールに興じているお兄さんが映ったんだろうが、そうじゃない。必死で便意を我慢しながら、早く終われと心の中で念じながらフリッパーを動かしているんだと弁解したかった。ハイスコアを更新してしまった手前、もはやゲーマーとして引き下がれないところに来てしまった。

伸び続けるハイスコア。
止まらない便意。
一向に無くならないクレジット。

ある種地獄だった。とにかく耐え切ったあの時の自分を褒め称えたい。幼女が隣のLord of the Ringsに貼り付けてある調整中の文字にガッカリしてその場を離れていくのを目の端で捉えながら、その後もExtra Ballのループに10分に渡って耐え、ボール残量がようやく無くなったとき、まだクレジットが残っていたことに目もくれず、一目散にトイレに駆け込んだ。判定はセーフ。最高の気分だった。

再び台に戻ると相変わらず誰も遊んでいないので、そのまま放置されていた台がランプを点滅しながら出迎えてくれた。
残りのクレジットは10分かからず無くなった。
つまり、人間は極限状態に追い詰められたほうが普段よりも高い成績を残せるということを実証して見せたわけだ。
さすが私。

追記:夕飯にはカレーを食べた。つくづく糞な一日だった。

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