Borderlands

Borderlands

 アートスタイルが好みでなかったのだが、今回セールに便乗して購入してみたので遊んでいる。内容はカジュアルテイストなHellgate:Londonで、要するにお使いクエストをこなしながらアイテムを蒐集することだ。

 ノリノリで陽気なBGMからゲームが始まり、4タイプのキャラクターの紹介からキャラクターモデルの選択する。当初はそのPV的な演出にニヤッとしたが、その後出てくるNPCが初会話の度に全く同じ種類の演出を繰り返すのでウンザリしてしまった。こういうのは滅多にやらないから面白いんだ。アートスタイルには非常によく合ってると思うが全体のバランスから見ると少々過剰すぎる。発想は悪くないのに色々と惜しい。

 ゲームは典型的なチュートリアルから出発。単純なWASD移動から画面に表示されているアイコンの説明まで、懇切丁寧にナビゲートしてくれるので説明書を読まない人間にも安心だ。Steamで購入する場合、購入・ダウンロード・プレイの三段ステップが基本なので、全く説明を読まないでゲームが進められず最終的にネットのフォーラムでつまりコイツは糞ゲーだと騒ぐ輩を黙らせるナイス手法なのは確か。しかし、最近はその手取り足取り補助輪ありますよ、な手法はやりすぎだと思う。特に今回いつの間にかチュートリアルに乗せられて、操作方法の説明を受けながらいくつかのクエストをこなして、いつの間にかチュートリアルは終わったと気づいたときに、この手の手法が既に十分システム化されて、猫も杓子もチュートリアルなのは釈然としない気持ちになった。自分でも上手く言えないが、作り手はもっと遊び手に「苦労」させればいいと思うんだよ。ゲームは確かに頭を使わず人間を楽なほうへ、享楽的な方向へ流す道具だと思うけど、最終的に超えちゃいけないボーダーラインというものはあると思う。チュートリアルというのは便利な反面、やりすぎると毒になるってことをもっと作り手は考えるべきだと私は考えている。

 閑話休題。ゲーム内容は全くHellgateと同じ。あるのかないのか良く分からないメインストーリーという名のクエストをこなしつつ、自分のレベルを上げて、より強い武器を揃えていく。敵はマップ上で地域ごとにレベルが固定されており、クエストをしていれば自然と敵のレベルと自分のレベルが拮抗するくらいに保たれている。そこで試しに自分のレベルよりずっと強い方向へ足を向けてみたところ、レベル差補正というものの恐ろしさを味わった。全然ダメージが通らない上に、敵からの攻撃は一撃一撃が同等レベルの同じ敵個体より高い。逆に私のキャラクターが10レベル下の同じ敵個体に攻撃すると一撃で殺せるのを見ると、このレベル補正がこのゲームでもっとも大事なことなんじゃないかと思う。RPG要素とアイテム蒐集要素を兼ね備えたFPSと謳っているが、これはほとんど”アクションもある”RPGと呼んで差し支えない。

 だが不思議なことにRPGならあるべき倉庫などがない。プレイヤーは十数個のフリーアイテムスロットに回復剤とドロップアイテムとコレクションアイテムを入れて常時持ち運ばなければならない。ボス戦もあるのでいくつか回復剤はあれば嬉しい。そこでその分のスロットは最初から予定のうちと考えると、あとはドロップ品とコレクションの相談になる。ドロップ品をたくさん拾って売却してお金にしたり並べて比較するならコレクションアイテムが圧迫されるし、コレクションアイテムをずっと手元に置いておきたいならドロップ品の回収は諦めるか拾う都度アイテム欄を確認してジャンクとしてその場に捨てるかどうか判断する手間が増える。他は悪くないのにこの一点のみ、なぜアイテム保存のボックスを用意しなかったのか惜しまれる。

 次にNPCのAIだが、非常に単純。Meleeしか攻撃手段がなければ正面からまっすぐ突っ込んでくる。遠距離攻撃があるなら一定距離を保ちながらその場を離れない。ヒューマノイド型の場合、走りながら銃撃やその場でスクワットしながら銃撃というパターンもあるが総じてチープ。しかし、そんなに精密で巧妙なAIを用意されても逆にこのアートスタイルと動作のギャップに戸惑うこと間違いないのでこれはこれで良し。マカロニウェスタンにドラマティックを求めるほうが間違ってる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です