随想録

 日本語版D&D Onlineに参加してみて。
 ボイスチャットで日本語が通じるというのはある意味楽だなと親身に感じた。これまでボイスチャットで喋った相手は英語圏の人が主だったけれど、やはり日本語は母音が強く外国人にとって母音のラウドボイスというのは耳に障る発音に聞こえるらしく、その点を常に意識してこざるえなかった。しかしボイスチャットといっても電話ほどクリアな音声が聞こえるわけでもなく、使用者のPC環境にも左右されボソボソと聞こえたりノイズが大量に混じったりと色々と苦労することも多いのが欠点だろうか。
 肝心の内容はNDAに抵触するので詳しくは書けないが、NDAにひっかからない英語版でもある点について言及してみると、以前US版Closed Betaに参加したときはターゲッティングが大変難しいと感じた点が改善され、Tabキーによるターゲッティングが驚くほど簡単になっていたのに驚いた。逆に壁の向こうの敵までTabキーでターゲッティングできてしまうもんだからリアリティが欠けてコレはコレでどうなんだろうかと、感じたが多分ユーザーから相当ネガティヴなバッシングがあったんだろうと推察できる。
 基本的に海外版公式サイトフォーラムを漁って情報を仕入れた限り、向こうでもあまりメジャーに流行っているわけでもなく海外MMOGは今も尚WoWの独壇場らしい。事実Australia勢はほとんどのMMOGプレイヤーが未だにWoWをプレイしており、僅かながらの我々アジア人とタイムゾーンを同するOceaniaプレイヤーも各サーバーに散り散りバラバラの状況のようだ。
 D&DOが抱える根本的な且つ唯一の独創的システムの最大の問題点はクエストがインスタンスで制限されており、結局のところクエストをやらなければレベルが上がらないことから繋がるシステムの包容力の無さだろうと思う。一回目は確かに新鮮な気持ちで遊べるのだが、長期的な運営を強いられることになるMMOGという性質上、FPSやRTSのようにパッケージの売り逃げという選択はできず、サーバー運営費やら何やらを例えユーザーが一人でもいるならコストとして必要とする点が将来性を憂うべき点であり、振り直しの無いキャラクター成長性と合わせるとプレイヤーはいくつかのキャラクターを並行的に遊ぶ必要性も出てくるその点において、レベルアップに必要なのはクエストであることとそのクエストも二回目以降になると単なる作業にしかならなくなる点を鑑みれば、US版D&Dが抱えるコミュニティーの縮小問題も納得がいくだろう。
 結局のところ、D&D Onlineが最大の売りにしていたクエストだけでレベルアップさせていくという半強制的なプレイヤー間の結束を強めるシステムが長期的な経営において最大の懸念材料になったということだ。仮にゲーム内容のアクション性が如何に高くとも、MMOGはどこまで進化してもMMOGでしかなく遅かれ早かれどこかで”作業“を強いられることになるという現実を改めて考えさせられた。
 WoWが取ったRaid路線とは全くの別ベクトルで進んでいるD&D Onlineのシステムはこれはこれで需要があると思われる反面、最早あそこまで爆発してしまったWoWを止めるほどのインパクトは無く、このゲームがあと2年早く作られていればまだ今よりはマシなコミュニティが形成されていただろうと思うだけに残念な感は大きい。

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